大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和42年(オ)981号 判決 1969年2月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人下山四郎の上告理由第一点について。

本件建物と不可分一体として売買の対象となつた一時貸付を受ける権利は、右建物の敷地として本件土地を使用することができる権利をいい、必ずしも上告人の有する本件土地の貸付を受ける権利の譲渡の方法によらなければその実現が期せられないというわけではなく、いかなる方法であれ、本件建物を本件土地上に存置することを得しめるよう敷地使用権を確保することができれば足りるものであるとの原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯でき、また、右認定判断の過程において証拠法則を誤つた違法はない。引用の判例は事案を異にし、本件に適切でない。原判決には所論の違法はないから、論旨は採用できない。

同第二点および第三点について。

本件土地の一時貸付は農地法八〇条に定める終局的な処分をするまでの間の経過的なもので、かつ、右終局的な処分たる行政目的に支障を及ぼさないものたらしめるため、原則として、一時的なものでなければならない等の制約はあるが、この制約に反しないかぎり、私法規定の適用を受けるのであり、知事の承諾なくして、上告人が貸付を受ける権利を譲渡し、または、該権利の対象たる本件土地を転貸したときは、その譲渡・転貸は、貸主たる国に対抗することができないが、譲渡・転貸の当事者間においては、右譲渡・転貸契約は有効である旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例